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「ヴィンセント・イン・ブリクストン」 10/29昼公演 梅田芸術劇場シアタードラマシティ

こんにちは!

見てきました、自担の主演舞台!!


まだ大千穐楽前なので大量改行しますが、今回も今回とて物語のあらすじを追いはしますが、考えるポイントがいっぱいあってたぶんめちゃくちゃ長いです。
なんで自担こんな考察が必要な作品ばっかりお呼ばれするんだろう…()

ヲタクの考察したい欲をくすぐる作品に出会わせてくれてありがとう。
あなたのおかげでまた1人のヲタクが考察で頭を狂わせます。
まあ、深馬君ほどではありませんでしたが…(未だに引きずるヲタク)


自分の記憶メモとパンフを見ながら書いていきます!
シーンシーンは覚えているけどその順番を覚えていないっていうのが多発しているので思い出した順に書いてます!
そんな順番だったか?というクレームは一切受け付けてません!
間違ってるのは私が1番よくわかっているので!
こういうシーンがあってこういうこと考えたっていう私の記録です!!



というわけで大量改行!!






































はい、いきます。

まず座席!

デジチケなわけですが、まさかの1桁列(後半)です。
下手寄りかな。

開演30分前くらいにパンフも買えて、チケットを確認し、染、色のときは20列台だったのに????どうした????と思いながらまあ、とりあえず客席を目指すわけですよ。
でも階段降りるにつれてあまりにも近くて、このままこの座席でセットを見ながら30分待つ(しかも単番なので誰とも喋れない)と思うと耐えれなくて1回ロビーに出ました()
ただ、座席下手ブロックの真ん中の方だったので、さすがに人増えてきたら入らなきゃ、ごめんなさい言いまくって座席につかないといけなくなるよな…と葛藤し、とりあえず15分前には席につきました。
偉い。

開演前はアコーディオンがベースになったBGMで男の人の歌声が入ってるみたいな曲が流れてました。
のどかなイギリスの田園風景がイメージなのかな?という感じ。
まあ、私の感情としては全くのどかじゃなかったんですけども。

セットはキッチンダイニングみたいな感じで、大きなテーブルが1つとその周りに椅子がいくつかあり、壁部分が水道・コンロ(って時代的にあるのか分からんけど火使うとこ)、食器棚、紅茶の缶が置かれた棚、みたいに色んなものが並んでいる感じでした。
その奥の上部には外であろう場所から木が1本だけ見えていて、最初舞台装置が動くのかな?と思ったんですが、見終わってからは照明の効果の関係なのかな?と思いました。




1幕

ピアノBGMに変わって暗転します。

明転したらコンロに置いてある鍋とやかんからちゃんと湯気が出てて早速細かい…!ってなりました。


ロイヤー夫人とヴィンセントが上手の扉(はないけど廊下の方と続いてそうな口)から出てきます。
ロイヤー夫人は黒のロングワンピース(ドレスみたいな感じ)に白いエプロン、ヴィンセントはカーキ色のジャケットに同じ系統の色のベスト(下は白シャツ)、ズボンでベストの胸ポケットら辺におしゃれなチェーンみたいなのがついていました。

ヴィンセントがこの家に下宿したいという話から。

ヴィンセントは自分がどんな人間なのかをアピールしながら必死に下宿させてほしいとお願いするんですが、この時点でとても表情豊かで動きも大きくてめっちゃかわいかったです。
こういう大袈裟な感じって海外の舞台ならではだなぁって思いました。

ヴィンセントは礼拝のために毎週今住んでいる場所からブリクストンまで歩いてきているのですが、それが約2時間かかる場所。
住んでる場所の礼拝堂よりもブリクストンの礼拝堂の方が故郷オランダの礼拝堂に似ており、落ち着くからと話します。
仕事場へも基本は蒸気船を使うなどして通っており、月末の懐が寂しいときは歩いていると。
嬉しそうにどこまでも歩いて行けそうな気がするんです!って話すヴィンセント、すでにてくてく5日間で100km散歩という謎ロケ遂行した正門さん味が出てる…!って思っちゃいました。

ヴィンセントはオランダの人で、今はイギリスで働いており、この下宿にも最低1年は間借りして、その後フランスで働く予定をしているとのこと。
ロイヤー夫人「フランス語も話せるの?」
ヴィンセント「英語ほどではありませんが。」
ここで、オランダにもオランダ語があるからヴィンセントはすでに2か国語を堪能に話せているんだ…と当たり前のことを考えちゃいました。
その後ロイヤー夫人がフランス語で何かを喋ります(私はフランス語が全く分からないので、話の流れからフランス語だろうなと思ってるんですが、違ったらごめんなさい)
それに対して嬉しそうにフランス語で返すヴィンセント。
ロイヤー夫人も今は亡き旦那さんがフランス人だったのでフランス語は話せるのです。
ここのフランス語のやりとりも、当たり前かもしれませんが、英語の話し方ともまた違う流れるような横文字で、日本人がやりがちなカタカナ英語が恥ずかしくなるくらい、横文字のセリフが見えました。

そのままここで住む場合のご飯の時間や掃除の頻度なんかを説明してくれるロイヤー夫人。
1つ1つ「頭に叩き込んでおきます。」って言いながらちゃんとおでこトントンしてるヴィンセント、めちゃくちゃ素直でかわいい。
ロイヤー夫人が畳みかけるように注意事項言っていくのでずっとトントンしないといけなくてそれもかわいかったです。
絶対全部1回で覚えられないのに()

確か掃除がロイヤー夫人じゃなくて女中の方なんですが、その子の名前を伝えると顔がパッと明るくなるヴィンセント。
「それは誰ですか?」ってうきうきして聞くけど、女中だと言われてほーんみたいなちょっと気分の落ちた顔になります。
座席が近かったっていうのもあるけど、このちょっとした表情の変化がとても分かりやすくて、今自分が生の舞台を見ている!という感覚がすごかったです。

その後この下宿は下宿として以外にも寄宿学校に上がる前の男の子を預かって学校を経営していることも伝えられます。
娘のユージェニーが手伝ってくれているとロイヤー夫人が話すとまた顔が明るくなるヴィンセント。

実はヴィンセントはこのユージェニーに一目惚れしてここに下宿することを決めたんです(あとでちゃんと説明がある)
でもロイヤー夫人にいきなりそんなことは言えないので、この下宿の前の川でスケッチをしている男性がいて、ここの玄関から出てきた美しい女性がお茶を持ってその方に渡し、一緒に飲んでいるのを見て、この家の人は外でお茶を楽しむ優雅なお家なんだ、と思い、貸間ありの札を見て訪ねたと伝えます。
その女性がユージェニーで、男性はもう1人の下宿人のプローマンであると教えてもらいます。

他、下宿する場合のお金なんかも聞いてヴィンセントは朝ご飯付で下宿したいと伝えます。
ヴィンセント「でも残念なのは、礼拝の後だとその時間に朝ご飯を食べることはできないですね。」
ここ、ロイヤー夫人がなんて言ったのかは忘れちゃったんですが、とりあえず今日はこの後一緒にご飯を食べようってことになります。
ロイヤー夫人がご飯を作るのでくつろいでいてくださいって言われるけど、何か手伝います!と進言するヴィンセント。
少しでも良い人と思われたいんだろうなと思います。
ロイヤー夫人「あら、料理もできるの?」
ヴィンセント「いいえ!したことありません!」
あまりにも悪気の無いにこにこ笑顔で心が浄化されました。
ロイヤー夫人はヴィンセントにとりあえずじゃがいもを剥いておいて、と頼むんですが、ヴィンセントはそれも何をすればいいのか分からなくて最初ナイフを手にします。
それは使わなくて大丈夫、こうやって?と教えてもらってゆでたじゃがいもを剥いていきます。
パンフ読んで「実際に料理をしながら」って書いてたのでやっぱり全部本物か、とびっくりしました。
湯気とか捨てるお湯とか、普通に本物やったし、じゃがいもとか食材も作り物に見えなかったし、すごいなぁと思ってたけど本物使ってるならそりゃそうだ案件()

あとは本はお読みになるの?とかも話してたはず。
ロイヤー夫人の本棚にあるおすすめの本を教えてもらったりとかします。
これがフランス人作家の本だったのかな。
それと、キッチンの壁上部に書かれた絵がプローマンさんの作品であることも教えてもらいます。
日本の浮世絵に影響を受けた桜の絵とのこと。
世界史と日本史は別々で習うのでリンクしにくいけど、そういう時代か、と世界史を思い出した時間でした。
キッチンのテーブルも形にこだわっていて、木目を強調するように塗料を塗ったのはロイヤー夫人、っていう話もしてたはず。


この辺りでプローマンが帰ってきます。
ロイヤー夫人がヴィンセントのことを紹介するけど、すでに外でスケッチをしているときに少し話したので知ってるよ、と伝えるプローマン。
プローマン「俺のことはサムでいいよ。」っていうセリフがあるのでここからはサム=プローマンでお願いします()
あとプローマンが美術大学に行こうとしている話もたぶんロイヤー夫人からしてたはず。

その後ロイヤー夫人が別部屋へご飯の準備するのにはけます。

キッチンにはプローマンとヴィンセントが2人になります。
サム「さっき話したときにヴィンセントと呼んでくれ、と言って、ロイヤー夫人もMr.ヴィンセントと言ってたけど、ということは名前はヴィンセント・ヴィンセント?」
ヴィンセント「違う!ヴィンセントは洗礼名で、名前は別にあるけど、この国の人達は正しく発音してくれないからそう名乗ってるだけだよ。」
ここのヴァン・ゴッホの発音レクチャーしてるヴィンセントも好きです。かわいい。
横文字セリフのとき発音がめちゃくちゃ良くなって、商業としての舞台なんやから当たり前なんやろうけど、そういうところの小さな努力が本当にすごいなぁと思います。
あと日本人が「L」と「R」を全部ラ行で発音してしまうように、イギリス人でもオランダ語の発音の区別ができないところがあって、異国の話の中にさらに異国の人が混じっているという不思議な空間だと思いました。

そしてサムはヴィンセントにビールを勧めます。
最初、ヴィンセントは断ろうとしますが、やっぱり1杯もらうよ、と言ってサムとビールを飲みます。
実はヴィンセントはお酒飲めなかったのかな?と思いましたが特にそういう描写はありませんでした。

その後、ヴィンセントとサムの仕事について話してたはずです。
(サムの仕事はロイヤー夫人もいるときに話してたかも)
サムは部屋の内装をペンキで描いたりする職人。
ヴィンセントは美術商の会社で働くセールスマン。
ここでヴィンセントはサムのスケッチを見て芸術家だと思っていたのに、職人であることに少しがっかりし、サムもヴィンセントが上流階級相手に仕事をする人間だと知ってちょっと距離が空くんです。
空くんです、っていうか、空いたように見えました。

その後、ヴィンセントはサムに付き合っている人がいるかを尋ねます。
当然、ユージェニーと付き合っているかの確認です。
でもサムは誰とも付き合っていないと言います。
ヴィンセント「本当に!?そんなにモテそうなのに?」(なんか違う言い方な気がするけど、そんなかっこいいのに?みたいな意味)
サム「毎日朝から晩まで働いたらそれだけで疲れてしまって、それどころじゃないんだ。」
ヴィンセント「羨ましいよ。僕はいつも体力が有り余っているんだ。」
でも女性とそういう関係にはなったことがないヴィンセント。
オランダで働いているときに惹かれた女性がいた話をサムにします。
ダンスパーティーに誘おうと思ったけど、結局勇気が出なくて誘えなかったヴィンセント。
ヴィンセント「僕には何が足りないんだと思う?」
サム「先のことを予測しすぎなんだよ。もしかしたら何とも思われなかったかもしれないし、向こうは君に誘われるのを待っていたかもしれないのに。」

登場してからここまでのヴィンセントは思ったことがすぐに顔に出て、すぐ行動に移してっていう全部自分をさらけ出している人のように見えるのに、実はそうじゃないと分かる瞬間だと思うんですよね。
少なくともオランダにいたときのヴィンセントは気になる相手に仕事以外で喋りかけることもできなかった。
そんなヴィンセントが、一目見たユージェニーに惚れて貸間ありと書いてあるからその下宿に住もう!という行動力を見せたのは、イギリスに来て大胆な行動ができるようになったからなのか、その時点でそれくらいユージェニーに惹かれていたという表現なのか…。
どちらにせよヴィンセントはそう単純な人間じゃないんだ、とここのシーンで思いました。

あとここの大袈裟にしょげたり、アドバイスを求めたり、同意したりするのを見てて、去年本当にここで深馬君っていう不確かで曖昧な大学生を演じていた人だよな…?と思ってしまうくらい全然違う人でこの時点ですでに私はとんでもない人を応援しているのかもしれない…と思いました。
深馬君を見てるとき、すごい正門さんに似合う役だと思ってたはずなのに全然違うヴィンセントを見てもすごい正門さんに似合う役だと思ってしまうの、日本語として絶対おかしいのに納得してしまうんですよね。

その後(だと思うけど順番違うかも)、サムが「個の家は思っているような家ではない。」と意味深なことを伝えます。
今日のロイヤー夫人は特別機嫌がいいけど、服装を思い出してみろ?と言います。
ロイヤー夫人は黒のワンピース、つまり喪服を着用していました。
ヴィンセントはオランダでは未亡人が喪服なのは当たり前なので疑問には思ってなかったのですが、イギリスで15年も前に夫が亡くなった未亡人が未だに喪服なのはおかしいとサムが教えます。
その意味を考えろ的なことを言われるけど、ヴィンセントはユージェニーに近づきたいので気にしません。
ユージェニーにも付き合ってる人はいないのかこの話の流れで聞きますが、お母さんの手伝いに精一杯でそんな相手はいないよ、と教えてもらいます。

その後ユージェニーがキッチンに来ます。
分かりやすくどぎまぎしてるヴィンセント本当にかわいい。

サムがヴィンセントは画商であることを伝え、絵の話をします。
ヴィンセントは(たしか有名な椅子だけが描かれた)絵の話をして、でもサムはその隣に展示されていたという労働者の現実を描いた絵の方が素晴らしいと言います。
サムは孤児だったこともあり、苦労してようやく今の職について、時々絵を描いて楽しむようになった人間なので上流階級の絵の楽しみ方が好きじゃないのです。
ここでたとえ話を2つくらいするんですが、ヴィンセントには何が言いたいのかわかりません。
サムは美術は労働者のものである、と言いたくて、労働してる手や汚れた部屋、それ自体が美しいと言います。
でもこの時のヴィンセントにはやっぱり理解できていないように見えました。

サムが段々冷たい言い方で上流階級を責めるような口調になっていくんですが、本当に空気が冷たくなっていく感じがして、BGMを使わない舞台ならではの生の空気だと思いました。
セリフの口調だけですっと冷えていく感じが目を離せないってこういうことかってくらい惹きこまれました。

たぶんその後でユージェニーが今日サムが描いたスケッチを見せてほしいと頼みます。
パラパラと見ながらユージェニーはサムのスケッチを褒めます。
さっき自分の仕事を否定されたヴィンセントはユージェニーが分かりやすくサムのスケッチを褒めることすら苛立ってしまい、自分の方が上手く描けるとか、嫌味なことを言ってしまいます。
ここでサムと完全に仲違いしてしまい、ユージェニーにも怒られます。
なんとかユージェニーの機嫌だけでも取り戻そうとするけど、失敗してしまい、落ち込んで椅子に座るヴィンセント。

そこにロイヤー夫人が戻ってきます。
ヴィンセントはサムに暴言を吐いてしまったことを悔い、本当にこの下宿に住もうと思ったのはユージェニーに一目惚れしたからなのだと白状します。
当然ロイヤー夫人はそんな下心がある男を下宿させるなんてありえないと、成立しかけていた下宿の話を白紙に戻します。
でもヴィンセントは必死にこんな感情になるのは初めてなのだとユージェニーへの愛をぶちまけます。
言い方が合ってるか分からんけど。
でも、本当にぶちまけるっていう表現が私は合ってるなぁと思うくらい感情全開で、セリフの後、しっかり息切れするくらいの熱量だったんです。
染、色のとき、泣きわめく真未を見てその熱量に圧倒された記憶が甦るくらいの熱量で、こんな序盤でその熱量を感じることになると思ってなかったので、この人のことを応援しているなんて私みたいな人間が軽々しく口にしていいのだろうかと思ってしまうほど圧倒されました。

ロイヤー夫人もその熱量に負け、「この判断は誤っていたと後で後悔するかもしれません。」と前置きしてから2週間だけ、次の下宿先を見つけるまで住んでも良いと許可します。

この後、たぶん2人で料理を部屋に持っていくためにはけて、今度はユージェニーとサムが来るんですよね。
どういう流れかは忘れましたが。
たぶんここにヴィンセントのことをユージェニーが「竜巻みたいな人ね。」って言うところはあるんですよ。
これは私の偏見ですが、海外で言う竜巻って日本の台風と同じだと思ってて一瞬で過ぎ去るけどものすごい被害をもたらすものだと思うんです。
この後ヴィンセントが下宿したことをきっかけにこの家に起こることはまさに一瞬で、でも大きくこの家を変えてしまう出来事で、たった一言やけど物語の起を表す一言だなぁと思いました。
そこからもう少し2人だけの会話があって、最後2人がキスして暗転するんです。
サムはヴィンセントに対して付き合ってる人はいない、と言ったけど、実は2人は恋仲だったと分かるわけです。


暗転

明転

パンフ的には2幕

浮かない顔で明らかに落ち込んでいる様子でキッチンに入ってくるロイヤー夫人。
そこに下手側の扉(裏庭に続いている?)から顔を出すヴィンセント。
庭で土いじりをしていたとのこと。
そのままキッチンに入ろうとするのでロイヤー夫人が慌てて止め、靴を脱いでと言います。
下手側扉のすぐ近くにあった椅子に座ってブーツ(だと思う)を脱ぐヴィンセント。
この日はユージェニーはロイヤー夫人の妹の家へ、サムはスケッチ旅行に行って不在です。
2人の行先は違うけど、どっちも同じ州なんですね、と伝えるヴィンセント。
ユージェニーのことが気になる気持ちもあったけど、仕事で行ったことがあるかなんかで縁のある土地だったので、と言い訳します。

それよりロイヤー夫人があまりにも気落ちしている様子だったので何かあったのかと尋ねるヴィンセント。
でもロイヤー夫人は何もないと言います。
ヴィンセント「じゃあ、何かあるってことだ。僕もイギリス流の会話が上手くなったでしょ?」
ここでイギリスの人は日本で言う京都人というか、本音と建て前みたいなの結構あるお国柄なのかなぁと思ったし、感情が全部顔と言動に出ちゃうヴィンセントがそれも理解できるようになったよと得意げに言えるくらいの時間は経ってるんだな、と思いました。
それに最初敬語だったロイヤー夫人にタメ語で喋れるくらいの親しさにもなってるし。
こういうところで教養の足りなさを実感する!
この舞台、本当に教養がめちゃくちゃいる!見る側に!!

冗談っぽい口調ながら元気づけようとしてくれるヴィンセント。
ロイヤー夫人もユージェニーを駅まで送りに行ったのにユージェニーが時刻表を読み間違えており、電車を待たされたことや、月曜になるとまた元気な男の子たちの相手をするのかと思うと気落ちするのだと理由を伝えます。
本当にそれだけ?と聞くヴィンセントにそれだけ、と返すロイヤー夫人。
ヴィンセントはそれだけじゃないな、って分かるけど、ユージェニーを迎えに行くことになっていたロイヤー夫人の妹(だったと思う)も同じ間違いをしてないといいね、と言います。
でもロイヤー夫人はどういうこと?という反応だったので、たぶんここでヴィンセントは何かほかにも隠していることがあるって気付くんですけど、ここでは別の話します。

ヴィンセントは今日礼拝に行った後、帰ってきたら家に誰もいなくて、しばらく煙管を吸いながら本を読んでたが、その後身体を動かしたくなって土いじりにいったそう。
確かこの話しながら煙管準備して、マッチで火をつけたりするんですけど、この動作がめちゃくちゃ手慣れてて(しかも下手側でやるから正味、正面で繰り広げられていて)めっちゃしんどいんです。
でもその後、煙管吹かせてふーって煙吐くんですよ…。
もちろん、そう見える小道具にしてるっていうのは分かるし、リアルで吸っててほしいかと言われたら健康に長生きしてほしいから吸ってほしくはないんですけど、だからこそ合法的に煙を吐く自担をこんな距離で見れるのがめちゃくちゃしんどかったです…。
安心してください。
やばいことを言っている自覚はあります。
でも煙管片手に煙吐く自担、たぶんこの舞台を見にきてなかったら一生見れなかったから…

この煙管を吸ってから後半のどこかでロイヤー夫人に近づくけど、「煙草臭くない?」って聞くところがあるんですよね。
ロイヤー夫人は慣れてるから大丈夫、と返すので亡くなった旦那さんが吸ってたのか?とヴィンセントが聞きますが、吸っていたのはロイヤー夫人のお父さん。
ロイヤー夫人のお父さんは船乗りで家にいないことが多かったから煙草の匂いはむしろ少し嬉しくなるのだと話してました。
しかも吸っていたのがオランダの煙草だったのであなたと似てるわね、みたいなことも言ってたと思います。

その後何の本読んでたの?と聞かれて(だったと思う)、ロイヤー夫人の旦那さんの名前が書かれた本だと教えてくれます。
ロイヤー夫人も懐かしくなって読ませてほしいと頼みます。
本を渡した後、ヴィンセントがテーブルに座ります。
ロイヤー夫人が音読するんですけど、それを聞いているヴィンセントがまあかわいいこと…。
たぶん初日の後にメディア公開されてるのがここの場面写真なんですけど、嬉しそうに、時折照れくさそうに笑いながら足ぶらぶらさせて聞いてるヴィンセント本当にめちゃくちゃかわいかったです。
その後、ロイヤー夫人がどうして紙を挟んでいるの?と聞くと、ヴィンセントは後で弟にも教えるためだと言います。
本はアルルにいった男の話で、そこには愛する妻と同じように心の綺麗な女性ばかりが住んでいた、という描写のある話。
弟にもそんな場所があるのだと教えたいヴィンセント。
あとグッズのアクリルスタンドに入ってる「epil」みたいな単語もここか、最初の方で話してたんですよね。
意味も「心ときめく」とかそんな感じやった気がする…程度にしか覚えてなくて本当に申し訳ないんですが…。

順番合ってるか分からんけど、これと土いじりした後に庭に植えようと思っている花の種をロイヤー夫人に見せます。
3種類くらいあったけど、スイートピーしか覚えてない…。
あとヒナゲシかな?
ちゃんと覚えといて花言葉とか調べようと思ってたのにな…。
スイートピーは旅立ちらしいです。
ヴィンセント「この袋に描いてあるみたいな綺麗な赤い花が咲くかは分からないけど。」みたいなセリフがあったから赤い花なんよな…()

おそらくこの後にヴィンセントは夏にオランダに2週間ほど帰る予定をしている話をするんですよね。
(兄弟の話してからやから本の話とお花の話は逆かも)
自分のすぐ下の妹をオランダに帰った後、一緒にイギリスに連れてくることになっていて、ここに下宿させてほしいとロイヤー夫人に頼みます。
自分が下宿しているところであれば両親も安心して妹を送り出してくれると思う、というヴィンセントにロイヤー夫人はヴィンセントが出ていく代わりに妹が来るのだと思い、良い考えだと思う、と同意します。
まあ、妹が来るのであれば少なくともユージェニーが狙われることはないので。
でもヴィンセントには出ていくつもりはなくて、妹に自分の今使っている部屋を使わせ、自分は物置部屋に移る、と言います。
妹がロンドンに来るっていうのに放っておけるわけがないでしょう?と。

ここでヴィンセントが十分家族思いなのも伝わると思うんですよね。
若くして1人で故郷を離れ、異国で暮らしてるけど、家族のことは大切にしてる感じ。

ロイヤー夫人はヴィンセントが今ユージェニーのことをまだ好きなのか、と問います。
ヴィンセントはまだ好きだけど約束通りちゃんと誰にも伝えてないと言います。
ヴィンセント「すごく苦しいよ。拒絶されるチャンスもないまま拒絶されているんだから。」
なら出ていってほしいと伝えるけど、それでも最初に住んでいいといったのはそっちだし、そこから僕は言われたことを守っているのだから出ていかされる理由はないというヴィンセント。

ここの足を放り投げた状態で座って生意気な態度をとってる感じが最初、謙虚にここに住ませてほしいと言っていたヴィンセントとは全然違うくて、それだけ親しくなったことを表してると同時に、ヴィンセントの純粋さというか、やるせなさというか、いい子ちゃんの仮面を外した感じがしました。
ユージェニーやサムがいるときはユージェニーに気がないフリをしないといけないので。
ロイヤー夫人にはそれを隠さなくてもいいので本心で接してる感じ?
上手いこと日本語が見つかりませんが、イギリス流の本音と建て前の会話を身につけつつも、ヴィンセントの中でロイヤー夫人は本音を見せれる相手っていう認識なんだろうなっていう。

その後、ヴィンセントがロイヤー夫人の手に指輪がないことに気付きます。
生意気な態度取ってたのに、慌てて一緒に指輪を探そうとするヴィンセント。
私の家は両親もその両親も結婚指輪をずっとつけてるタイプではなかったのであんまり重要なものではなく、形式上のもの、という認識なんですが、それまでの態度と一変するヴィンセントを見てこの時代の人達、もしくはオランダの人にとっては結婚指輪っていうのはとても大切なものなんだろうなと思いました。
特に死別して15年経っても喪服でいるロイヤー夫人の結婚指輪なのもあるのかも。
ずっと亡くなった旦那さんのことが忘れられないのに結婚指輪がないなんて!と思ったのかもしれないですね。

とにかく、ヴィンセントは慌てて探すんです。
でも、ロイヤー夫人はいたって冷静で、「水仕事するときに外したんじゃない?」とか「部屋にあるんじゃない?」とかどこか他人事。
あまりにもヴィンセントが一生懸命探し出そうとするのでロイヤー夫人は「ユージェニーに貸したの!」と打ち明けます。

イギリスのホテルでは夫婦として一緒の部屋に泊まるためには婚約指輪をしている必要があり、ユージェニーはちゃんとそれを買っていたのに持っていくのを忘れ、駅でそれに気づき、落胆していました。
見ていられなかったロイヤー夫人は自分の指輪をユージェニーに貸したのです。
ヴィンセントはもちろんロイヤー夫人も今日はロイヤー夫人の妹の家に泊まると思っていたので誰と夫婦としてホテルに泊まるつもりなのかと尋ねます。
ロイヤー夫人「あなたもよく知っている人よ。」
まあ、もうここでみんな気づいていますが、それはさっきキスしている2人を見ていたからであって、ヴィンセントはロイヤー夫人がサムだというまで分かってませんでした。

ロイヤー夫人は前々からそんな気配はあったけど確信は持てなくて、今日真実を知ったと言います。
ヴィンセントがいつからそんな気配があったのかを訪ねると、ヴィンセントがすでに下宿している頃からとのこと。
ヴィンセントはなんで教えてくれなかったんだ?!と怒ります。
でもロイヤー夫人もヴィンセントにあなたに話せば広まってしまうでしょう?!と反論します。
幼い子どもを預かる学校を経営しているロイヤー夫人としては、下宿生と自分の娘が1つ屋根の下で恋人関係にあるなんて知られたら子どもを預けてもらえなくなってしまうため、隠しておきたかったのです。
なら2人が結婚して公にすればいい、というヴィンセント。
でもそうすれば美術の道に進む夢があるサムを縛り付けてしまうというロイヤー夫人。

ロイヤー夫人は自分には才能がないけど、才能のある人が開花する瞬間を見届けることはできる、と言って、サムの絵を見たときにこの人は絶対に美術の道に進むべきだと感じたと言います。
だから結婚でこの家に縛り付けることはできない、と。
なら、ユージェニーの人生は?ずっと手伝いばかりしているユージェニーはどうなるんだ?というヴィンセント。
サムに才能があることは分かってるし、ユージェニーの手伝いがないと学校の経営が出来ないことも分かっているし、自分の恋は叶わないのだと分かってもなお、愛したユージェニーの幸せを第一に考えようとするヴィンセントがめちゃくちゃ健気で本当に純粋に良い人ではあるんだな、と思いました。
それでもロイヤー夫人はユージェニーの自由は縛り付けたまま、あなたに何が分かるの!?という感じでヴィンセントを突き放します。

たぶんこの後にヴィンセントが2月頃、ロイヤー夫人が1人で庭で落ち込んでいるのを見ていた話をするんですよね。
ふとロイヤー夫人が顔を上げたとき、上の階にいた自分と目が合ったのを覚えてますか?って。
その頃、闇の中にいたロイヤー夫人が自分で死のうとしていると思って、自殺に使えてしまうもの(ちゃんと覚えてなくてごめんなさい。具体的な道具(ナイフとか)挙げてたのに覚えてません)をヴィンセントは隠したのです。
僕が隠したって気付いていたんでしょう?と諭すヴィンセント。
でもロイヤー夫人は頑なに知らないというし、むしろ私が自分で命を絶とうとしていたっていうの?!と受け入れてくれません。
それでもヴィンセントは僕にはあなたの闇が分かる。僕だけが分かる、とロイヤー夫人に伝えます。

ロイヤー夫人は本当は今日、駅までユージェニーを送った後、1人で路面電車に乗っているときに街を行き交う若者を見て、自分には何もないことを悟り、辛くなったのだと話します。
…もう少し前に話してたかもしれないけど()

ヴィンセントも自分には生まれてすぐ死んだ兄がいる話をするんです。
…これはたぶんここだと思う(曖昧)
両親に最初に出来た子どもは生まれてすぐその日に死んだけど、自分は1年後の同じ日に生まれたのだと。
1度目に死んだ子どももヴィンセント自身で、神(主って言ってたかも)は2度僕にチャンスを与えてくれたんだと思っている、と言います。
だからそのチャンスを無駄にはしない。僕はやりたいことをやるんだ、と言ってヴィンセントはロイヤー夫人に本当はあなたのことが好きなんだと伝えます。

ユージェニーを愛していたことも事実だけど、ユージェニーとサムの話を聞いた時に怒りが湧いてこなくて、それはなぜか考えたとき、ロイヤー夫人のことが好きになっていたからだと気づいたヴィンセント。
ロイヤー夫人のことは心を理解し合えるのだと言います。
自分の娘くらいの年齢のヴィンセントに愛していると言われても当然ロイヤー夫人は信じられません。
でもヴィンセントは読んでいた本を手に取り、その中の文章をロイヤー夫人に投げかけます。
この後もキーになるので覚えているのは「女性は年を取らない。愛し、愛される限り。」という文章。
他にもヴィンセントが紙を挟んでいたページの文章を読んでいきます。

弟に教えてあげるために紙を挟んでいるって言ってたけど、その文章を愛の告白に使うっていうこともなんかヴィンセントが純粋で真っ直ぐに愛に向き合ってる感じがするなぁと思いました。
誰かを愛することに関する文章を弟にも伝えたいし、もちろん愛する人にも伝えたい。
自分の良いと思ったものは親しい人に教えたいタイプなんだなぁって。

この一連のくだり、ロイヤー夫人もヴィンセントも感情をむき出しにしたり、逆に冷静に相手を諭すように伝えたり、起伏が激しくてここもすごい圧倒されました。
物語が大きく動く承の部分なので当たり前なのかもしれませんが。
この舞台はずっと同じロイヤー家のキッチンっていう場所から動かないのにその分なのか、それでもなのか、1人1人のぶちまけるエネルギー量がすごいんですよね。
これは1幕に限らず最後までずっと。
感情を表に出さない日本人に対して見せる海外のお話だからこれほど大袈裟なのか、1人1人のキャラクターが持つ感情がそれほど大きいものなのかは見てる側に委ねられてるかな、と思うんですけど、個人的には後者だと思ってます。
それくらい、1人1人が誰かを強く思っているからこその熱量なのかな、と。

あとパンフに正門さんの写真の隣に書かれていた「あぁ、神様、今僕に彼女のそばに行く勇気をお与えください。」っていうセリフもこのシーン。
下手側で本を抱えて訴えるように発せられるこの言葉と言い方とか姿勢とか正門さんの纏う全てがヴィセントの気持ちと、若さゆえの脆さというか弱さみたいなものを表現している感じがして、ここの絵が目を閉じると浮かんでくるくらい印象に残っています。

最終的に気持ちが通じ合った2人。
(端折ってごめんなさい。書きたいこと書いてたら順番分からんくなった)
下手側に座っているロイヤー夫人の方にヴィンセントが歩いてきます。
ロイヤー夫人が客席に背中を向ける形、ヴィンセントは客席を向く形で2人が向かい合います。
下手なのでゼロズレとは言いませんが、まあ正面といって差し支えない場所だったんですよね、ここが。
正直、真剣な顔して近づいてくるの見てるだけで「あーやばいこれはやばい今すぐ誰かに抱き着いて無理ですって叫びたい」という欲を抑えるのに必死だったんですけど、そのまま真剣な顔してキスするんですよね、ヴィンセント。
リア恋ヲタクではないと思っているので嫉妬とかそういうものは一切ないんですが、ただひたすらにこの距離でこんなものを見てしまっていいのか、私は倍額くらいチケ代を払わなければいけないのではないか、と思うくらい贅沢な経験をさせていただきました。
しかもその後、ヴィンセントはロイヤー夫人の喪服ワンピースのボタン外していくんですよね。
シンプルに抱こうとしてるっていうのもあるけど、もう喪服なんて着なくていいでしょう?という意味もあると思うんですよ。
別に、文学的なね、そういうやつなので、うん、ほんと、私はどうしてこんな「あーちょっと今すぐTwitterにあああああああああああああってツイートしたい」とか「なんで単番で取ってしまったんだ!今すぐフォロワーさんに手を握ってほしい!!!」とかしか考えられないんでしょうね。
でもロイヤー夫人が嬉しそうに何するつもり?って聞いて、あなたの全てを見せてくださいっていうヴィンセントとても良かったです…。
喪服に隠した闇を全部僕には見せてほしいっていうことですよね、分かってます。
悪いのは私の唐突な近距離で演技する自担に慣れない思考回路です。



とか言ってる間にこのシーンで1幕(パンフ的には1,2幕?)が終わります。

おいおいおいおい私は今すぐこの興奮を叫び散らしたいが???と思いながら大人しく携帯のメモに起きたことを忘れないようにメモしてたら20分あっという間に終わりました()






2幕
(パンフ的には3幕?)


また時間が進んでて(暗転する度に一気に時間が進む感じっぽい)、ヴィンセントの妹アンナも一緒にイギリスに戻ってきます。

アンナはバケツとモップを持って下手側にある水道でじゃぶじゃぶしてます。
そこにサムが来るんですが、アンナはサムをお客さんだと勘違いします。
この日来たばかりなので何も分からないけど、お茶を出さなくちゃって台所を漁るアンナと下宿している家なので全部場所分かっているサム。
わざと自分も下宿人だとは言わずにしばらくアンナに任せるサム。
アンナ「あなたの方がこのキッチンのことよく知ってるみたいね。」
サム「そりゃ、俺はここの下宿人だからな。」
サムは揶揄うつもりで隠してたけど、アンナはサムのことを兄の恋敵だと思ってるので態度を急変させます。
でもサムはそのままで、朝から掃除してるの?と聞きます。
アンナはこの家は掃除ができてなかったから、と答えますが、それは君達が3日も早く来たからねとサムが言います。
どうやらヴィンセントの仕事場から電報が入り、急遽オランダを出発するのが早まったのだとか。
あとヴィンセントの部屋は物置部屋だよ、とサムが伝えます。

この辺でヴィンセントが入っています。
この暗転の間も言うて数か月しか経ってないはずやのに、1番有名な肖像画みたいな髭面になってました。
私が一生懸命記憶をメモに書き出している20分の間、正門さんは髭面の準備してたんだぁと思うとかわいいですね。

アンナは怒ったまま、ヴィンセントに対して掃除をするから荷物をベッドの上にあげておいて、と伝えて出ていきます。

この辺でたぶんサムが美術大学に合格した上で奨学金をもらいながら通えることになった話もしてたはず。
面接の話をしたり、貰える奨学金は年間20ポンドっていう話をしたり。
単位がすぐに変換できないのでよくわからんかったけど、ヴィンセントは「たったそれだけ?!」って驚いていたので奨学金にしては少ないみたいです。
受かったんだよって言ったとき、ティーカップを持ったまま抱き着こうとして中身を零すんですけど、普通にちゃんと入ってるから衣装とか汚れへんのか…?と思っちゃいました。

そしていつの間にかヴィンセントは画商ながら、サムに自分の描いた絵を見てもらう関係性になっています。
ヴィンセントはオランダにいる間も自宅近くの風景画などを描いていて、よく出来た数枚をサムに見てもらうんです。

この辺でユージェニーも来ます。
前半ではサムのことをプローマンさんと呼んでいたはずのユージェニーがサム(もうこの時点でサミィだったかも)と呼ぶようになっていて、明らかに2人の関係性が変わったな、と思ったら案の定この時点で婚約をしているとのこと。
ヴィンセントはユージェニーに対し、婚約が決まってから変わったね、と言います。
明るくなったって言うてたんかな?
なんかそれ、今までが悪かったみたいじゃない?みたいな言い方やなぁと思った記憶はあるけど具体的にセリフを覚えてなくて申し訳ない。
でも私はユージェニーは前半とそんな大きくそこ変わったか?と思った記憶もあるので、ヴィンセントの中でユージェニーに対する気持ちが恋ではなくなったことで純粋にサムとの関係性を応援できるようになり、見え方も変わったのかなぁと思いました。
まあ、ここは本当に記憶が全然ないのでこの感想も曖昧なんですが()

あとユージェニーがヴィンセントに対して、アンナが勝手に部屋に入ってくると文句を言います。
ヴィンセントは部屋を間違えたんじゃない?と誤魔化すけど、ユージェニーはアンナがわざわざ靴を脱いでいたことを指摘し、止めさせるように伝えます。
ヴィンセントもアンナが部屋を間違えたのだと信じているわけではなさそうでしたが、本当の理由を知ってるわけでもないみたいだったので(この後のシーン的に)、アンナがイギリスの女性の生活様式に興味津々すぎる、程度に思ってたのかなぁ。

そしてどっかのタイミングでサムははけて、ロイヤー夫人が来るんですよね。
ここでロイヤー夫人が完全に喪服ではなく、白色のブラウスにピンク色のスカートという、明らかな心境の変化を見せるんです。
数か月が経過しているので、絶対に喪服ではなくなった日が存在しているけど、それがいつなのか、その時何も知らないユージェニーとサムは何を思ったのか、そういうところは全部描かれてなくて、でも絶対的な変化なので何かは考えているはずで、これが描かない美学ってやつか…ってなりました。
教養も求められているし、想像力も求められている。
私はユージェニーとサムは何かを察しながらも、自分たちだってずっと隠して付き合ってたわけなので言えなかったんじゃないかな、と思ってます。

ユージェニーがロイヤー夫人に「ヴィンセントから変わったねって言われたの。」と嬉しそうに伝えるし、ロイヤー夫人も「そう?気づかなかったわ。」って嬉しそうに答えるんです。
最初ヴィンセントが下宿に来たとき以上に上機嫌なロイヤー夫人。
当然ヴィンセントが帰ってきたからなんでしょうけど、もしかするとこの劇中で1番感情が分かりやすいイギリス人はロイヤー夫人なんだろうな、とも思いました。

ユージェニーがはけた後、2人になったロイヤー夫人とヴィンセント。
2人とも背中合わせで近づいて行って、ヴィンセントが椅子に座ると手をちょいちょいってしてロイヤー夫人を呼びます。
そのまま2人で手を繋いでクスクスしてるんですけど、これがめちゃくちゃかわいい。
子どもかよ!ってくらい純粋な戯れなんですけど、2人があまりにも嬉しそうでかわいかったです。
ロイヤー夫人を呼ぶのにちょいちょいしてるときのヴィンセントの手もかわいかったです。

そしてオランダで書いたスケッチを見せます。
ヴィンセントはずっとロイヤー夫人が恋しくて絵を描いていたと伝えます。
他にもオランダに帰る前に描いたロイヤー夫人の絵を見て「これが1番よく描けている。」みたいなこと言うんですよね。
そこには「女性は年を取らない。愛し愛される限り。」の言葉も一緒に描かれています。
それまで見せてたスケッチは全部立て向きなのに対して、これだけは横向きなんですよね。

あとサムと話してるときかロイヤー夫人と話してるときかが曖昧なんですけど、ヴィンセントが遠近法のことを古臭い手法だと思っていたけど、1度やってみようと思ったらこれが効果的だったんだ!って嬉しそうに話してるところもありました。

たぶんこの後にアンナがキッチンに戻ってきます。
アンナはまだヴィンセントが部屋を掃除できるようにしていないので早く片付けて!と怒ります。
仕方なくヴィンセントは自分の荷物をまとめにはけます。
家では静かだったのにここでは随分お喋りなのね!みたいなセリフもこのシーンかな?
どっかでこういうセリフもありました。

ロイヤー夫人と2人になったアンナ。
あなたに何かプレゼントを贈るとしたら、このテーブルにかけるテーブルクロスね、とアンナは悪気泣く言います。
でも、それはロイヤー夫人が塗料を塗って木目を強調させた自慢のテーブル。
この時点で、アンナは少なくともロイヤー夫人とは感性が合わないし、それでロイヤー夫人の空気が変わったことも察することができないタイプの子なんだとわかります。

そして兄と同様、隠し事ができないアンナはロイヤー夫人に直接ユージェニーがヴィンセントと付き合っているのかを問います。
ロイヤー夫人はヴィンセントは自分と付き合っているので笑って否定しますが、アンナは真剣。
ヴィンセントがロイヤー家に住み始めた頃に送られた手紙のことを話します。
そこにはユージェニーに対して家族みたいなんだ。だから君も姉のように思ってほしい。それ以上のことは何も思わないでほしい。みたいなことが書いてあるんです。
でもアンナはそれが言葉の通りではないと思っており、2人はそれ以上の関係にあると思っています。

この手紙が送られた正確な時期が分からないので、もしかしたらまだユージェニーのことが好きだったときに必死に自分の気持ちを抑え、自分に言い聞かせるように兄妹のようなものだと書いたのかもしれないし、本当にロイヤー夫人を好きになってから書いていて、ロイヤー夫人と自分が結婚すれば2人は姉妹のようなものでしょ?という意味なのかは微妙だなと思います。
まあ、前者なのかな、とは思います。

手紙を持ち出されたのでロイヤー夫人はぼかして、確かに最初はそういう気持ちがあったかもしれないけど、そんな下心のある人間は下宿させないし、そういう気持ちは捨ててと言ってあると言います。
信用しきれていないアンナはロイヤー夫人にヴィンセントがパリに転勤する話をします。
確かに最初、下宿先を決める話のときにいずれパリで働く話はしていたけど、あまりにも唐突で動きが止まるロイヤー夫人。
栄転なの?と聞くとアンナはまさか、と笑います。
経験を積むためだと。
この辺で下手扉から顔を出すユージェニー。
ロイヤー夫人はユージェニーに転勤の話を聞いているか尋ねますが、当然こっちも知らない話。
ユージェニー「私達に黙っているなんて!」

すっかり落ち込んでしまったロイヤー夫人は朝から掃除のためにバタバタしているアンナに対し、うるさいから少し出ていくと告げ、はけます。

ここでユージェニーとアンナが2人きりになります。
アンナはユージェニーにも直接ヴィンセントとの関係を問いただします。
あなたのお母さんは兄があなたに気が合ったことを認めている、と。
少し過大解釈なのもアンナの思い込み強めな性格を表しているな、と思いました。

ヴィンセントは昔からすぐ他人に流されてしまう弱い人だから家族も心配していたのだとか。
そして久し振りにオランダに帰ってきたらビールは飲むし、パイプも吸うし、喋らず連日家を空けて出かけてしまうヴィンセントに絶対に何かあると思ったアンナ。
それが手紙と結びつき、誰かがヴィンセントを狂わせてしまったのだと思い込んでいるのです。

1幕でサムとビールを交わしたとき、お酒飲めないのかな?でもそういう描写出てこないな?と思ってましたが、やっぱりお酒は普段飲まなかったんだろうな、と思います。
それに煙管もそれまでは吸ってなかったっぽいので、そりゃ家族はイギリスで何かあったと思って当然です。

煙管を吸い始めた理由はちょっと分からんけど、あのときサムとビールを交わしたのは、ヴィンセントにとって一目惚れした女性のいる下宿に住むという挑戦をした日なのでとことんやってやれ!という気持ちになったのか、それともユージェニーとサムは恋仲なんじゃないかと疑っていたのでそんなサムがお酒を飲むなら自分も飲んでやると思ったのか。
どちらの解釈でもいいなぁと思ったりしてます。
煙管ももしかしたらサムの影響なのかな。

それでも家族は何も聞かず、そっとしていたのです。
代わりにここへ来る自分が理由を突き止めるのだと張り切っているアンナ。
最終的にユージェニーのお腹を指して「あなたがここの下宿人と愛を育んでいることは分かってる。」というようなことを言います。
ユージェニーもお腹を擦っていて、はっとした表情をするんですが、その後別にユージェニーは気が弱い女の子ではないので、そんな人をお母さんが下宿させると思う?と言い返します。
アンナのことを何も知らない田舎者なのに、と言いユージェニーはキッチンを出ていきます。

1人になったアンナは言い返せなかった悔しさもありつつ、テーブルに置かれたままだったヴィンセントのスケッチブックを開きます。
そこにはオランダの風景画のスケッチが描かれているのでアンナは嬉しそうに1枚1枚広げて眺めます。
でも、当然そこにはヴィンセントが描いたロイヤー夫人の絵も入っています。
そこまで縦向きの絵を見ていたのが途中で横向きになり、1枚だけ明らかに表情の固まる絵が出てきます。
ちょうどそこで部屋を片付け終え、キッチンに降りてきたヴィンセント。

アンナは絵と一緒に描かれた文章を読み上げ、この人だったのね、とヴィンセントに絵を見せます。
ヴィンセントも無理矢理取り返すことはせず、認めます。

アンナはさっきユージェニーにお腹の子がヴィンセントとの子なんじゃないか、なんて酷いことを言ってしまったと悔いるんですが、そこでヴィンセントは初めてユージェニーが妊娠していることを知ります。
アンナはロイヤー家の人達に転勤の話もしていなかったことを責めます。
でもヴィンセントはここに残るというのです。
当然アンナは自分よりもずっと年上の未亡人と恋人関係にあるなんて良くないと思い、ここから出ていこうと言います。
家族がどれだけあなたを心配していると思っているの!?と責めたことでおそらくヴィンセントの心は少しだけ揺れたんだと思います。

思えばこのそんなに時間が経っていない中で髭面になったのは、身だしなみにも気を遣わなくなってしまうくらい早くオランダからイギリスに戻ってロイヤー夫人に会いたかったのかもしれないし、ヴィンセントの中でそれだけ家族の順位が下がってしまっていたのかもしれません。

アンナは少なくとも自分はここを出ていくと告げます。
1日あれば下宿先なんて見つかる、と言って自分の部屋へ荷物を再度まとめ直しに行きます。

アンナが出ていってからロイヤー夫人が戻ってきます。

ロイヤー夫人はヴィンセントになぜ転勤の話をしてくれなかったのかと尋ねます。
ヴィンセント曰く、転勤の話は父親が勝手に決め、会社に通じてる叔父に話し、叔父が会社に伝えてしまって決まったのだと言います。
結局のところ、僕がどこで働こうと会社の人間は気にしないんだ、と伝え、ここに残ると言いますが、ロイヤー夫人は浮かない顔をしたままはけてしまいます。

ロイヤー夫人もいないことを確認して降りてきたアンナは出ていく準備万端で、今しかない!私は出ていく!と告げ、お兄さんはどうするの?と尋ねます。
でもヴィンセントは自分がどうしたらいいのか分からないまま、暗転します。

↓どこの間に挟まってたのか忘れたけどヴィンセントとアンナ2人のシーン。
朝から掃除でバタバタするアンナに対してそんなに張り切らなくていいというヴィンセント。
部屋が片付いていないから、とアンナは言いますが、ヴィンセントはこれがイギリス人なんだ、と言います。
イギリスの人達は家のことをそこまで気にしないんだよ、と。
なんやかんや言うてイギリスも島国なので当時のヨーロッパの他の国からしたら全然違う異文化だったのかなぁと思ったり。
この辺も教養が必要だなぁと痛感したり…。
まあ、どこに挟まってたシーンか忘れるっていう致命的な記憶力なんですが…。


暗転


明転
パンフでいう4幕


ここ、明転って言っていいのか分からんけど。

嵐の夜で、暗いまま、一瞬窓の外が光り、雷の音が鳴ります。
まあまあ大きくてビビりました()

その暗い舞台にろうそくの火(に見えてたけど最後ちゃんと明るくなったらランタンだった)だけ持ったロイヤー夫人が現れます。
その後、ユージェニーが外はすごい雨ね、ってお母さんに声を掛けながらキッチンに入ってくるんですが、ロイヤー夫人は何も返しません。
この時点でユージェニーが赤ちゃんを抱いているので少なくとも10か月程度は経過していると分かります。(妊娠分かったときまだお腹大きくなかったし)
そのまま何も反応しないロイヤー夫人に1人で喋りながらお茶を入れるユージェニー。

ロイヤー夫人やユージェニーの暗さで3幕の最後、どうすればいいのだろうと言っていたヴィンセントは結局この家を出たんだと分かります。
ロイヤー夫人の服もまた喪服に戻ってたりもしてました。

ユージェニーはサムの居場所を聞きますが、ロイヤー夫人は答えません。
呆れたように諦めたユージェニーにロイヤー夫人はメモを渡します。
そこにはサムが家の修理のために1度家へ道具を取りに帰ったというメモが書かれているんです。
ロイヤー夫人が小さく呟くとユージェニーが「聞こえるように言ってよ!」と声を荒げ、ロイヤー夫人も「どうしてわざわざこんな書置きを残したの?!私が伝えられないと思ってるの!?」と声を荒げます。
実際、ロイヤー夫人はそこまで全然喋らないしユージェニーの言動に反応も示さなかったからそりゃそうだろ、と思ってしまいますが、ロイヤー夫人にとってはまるで自分が何もできないと言われてるような気がしたのかなぁ…。

この辺で呼び鈴が鳴り、サムが鍵を忘れて出ていったと思ったユージェニーが迎えに行きます。
でも外にいたのはサムではなくヴィンセント。
慌てて戻ってきたユージェニーがロイヤー夫人に「お母さんに入っていいか聞いてほしいって言ってる!どうしたらいい?」ってさっきとは全然違う焦りのような声で聞くんですが、やっぱりロイヤー夫人は答えてくれません。
外も嵐なのでとりあえず中に入れることにしたユージェニー。

入ってきたヴィンセントはやはり髭面のままで、それまでの仕立ての良いスーツって感じはなく、嵐の中から入ってきたということや、舞台全体が薄暗いこともあって、没落貴族みたいな感じでした。
そのままユージェニーがちょうど入れかけていたお茶をヴィンセントにもいる?と聞くんですが、ヴィンセントはそれよりも何か食べる物が欲しいと言います。

赤ちゃんが生まれるくらいの時間が経ってるっていうのは分かるけど、上流階級相手に仕事をしていたヴィンセントが食べるものにも困るくらい貧困層に落ちたんだ、ってちょっと衝撃でした。
ユージェニーは棚に昨日の残りのケーキがあるから食べていいよ、と言います。
かつて住んでた家なのもあってヴィンセントはそのまま棚のケーキを食べるんですが、そこで赤ちゃんが泣くんです。
それを見たヴィンセントが「生まれたんだね、男の子?女の子?」と聞くとユージェニーは「女の子。上の坊やはもう2歳になるかなぁ。」と言います。
ユージェニー「あなたはカレンダーを持っていないみたいね。」
ユージェニーが抱いていた赤ちゃんはアンナが指摘した子どもではなく、2人目の子どもだったのです。
つまり、最低でも2年の月日は経ってる計算。
そっか、って感じで何も言えないでいるヴィンセントを置いてユージェニーが1回はけます(流れは忘れた)。

2人になったところでロイヤー夫人は雨に濡れた靴を履いているヴィンセントを見て、そんな靴で歩かないで、と言います。
ヴィンセントは下手扉側の椅子に座って靴を脱ぎます。
そこにサムが戻ってきます。

サムはヴィンセントがいることに驚き、話そうとしますがロイヤー夫人がサムを追い出そうとします。
サムも話したそうにしてましたが、ロイヤー夫人の言う通り、部屋を出ていきます。
出ていく間際に新聞紙、使っていいから。競馬のとこだけ残しといて、と言ってはけていきました。
置いて行かれた新聞紙をロイヤー夫人がヴィンセントの靴を乾かすのに使います。

またヴィンセントと2人になったロイヤー夫人はヴィンセントへどうしてあんな出ていき方をしたのかと尋ねます。
ヴィンセントは誰にも何も言わずに出ていっていたのです。
当時のヴィンセントはそれが1番いい方法だと思ったとのこと。

見てるときはいや、そりゃないだろーと思いましたが、ゆっくり観劇後パンフ読んだりして考えていると確かにヴィンセントから見たらそれが1番良かったのかもしれないなぁとなんだか納得しちゃいました。
ヴィンセントが伝えていようと伝えていなかろうと、間違いなくロイヤー夫人はヴィンセントが出ていけばまた闇に落ちるんですよね。
それはきっとヴィンセントも分かっていたはず。
そして、そんなロイヤー夫人を見てしまえば、きっと出て行けなくなっていたと思います。
元々いずれはパリに行く予定をしていたヴィンセントからすれば、前もって準備していくよりも今勢いで出ていった方がちゃんとパリに行けると思ったんじゃないでしょうか。
ロイヤー夫人を捨てたっていったらまあ、そうですけど、いずれは捨てなければいけないものを少し早く捨てただけだったのかもしれないなぁと個人的には思います。

そして、今日わざわざ戻ってきた理由もロイヤー夫人は尋ねます。
ヴィンセントは昨日がロイヤー夫人の誕生日だったでしょう?と言ってロイヤー夫人にすみれの花を渡します。
ヴィンセント「すみれは1年に2度咲くと、この花を売ってくれた少女が教えてくれたんだ。1度目は春。2度目は今(秋)。」

待ってそう言えば染、色のときも秋に咲く桜の話してませんでしたかー???って考えてしまったヲタクは同士です。
1年に2度咲く花は物語の世界では共通した何かの象徴なのかなぁ…。

その後ロイヤー夫人は今のヴィンセントの仕事について尋ねます。
パリで画商をしているようには見えないから、と。
ヴィンセントは画商の会社をクビになっていました。
馬鹿な客の相手をさせられたせいだ、と言います。
ヴィンセントの態度が横柄だったのか、本当に客が悪かったのか、これも観客の想像に委ねられてますが、私はまあヴィンセントが横柄な態度をとったんだろうなと思ってます。

ヴィンセント「22歳にして役立たずの烙印を押されたんだよ。」
そういえばここまで全然年齢考えてなかったけど、ヴィンセントまさかの年下かよ案件()
昔の話なのでまあ、22歳でもだいぶ大人なのかもしれんけど、ってことは前半の1幕辺りとかは10代から20代に入るくらいのことになってしまうし、そりゃその年齢で同世代のお母さんに手を出すのは相当な物語だわ、ってここにきて初めて納得しました。
ついでにパンフ読んだら本物のゴッホも40歳になる前に亡くなっているみたいで、だいぶめちゃくちゃな荒れた人生送ってるなぁと思っちゃいました。

そんなヴィンセントにも奇跡的に仕事のオファーがあり、今は先生の仕事(たぶんちゃんとした教師ではなくて教会の手伝いなんだと思う)をしているとのこと。
夕方になると誰かが讃美歌を歌い出して、子ども達の合唱になるんだ、って言って1フレーズ歌ってくれましたが、私は知らない讃美歌でした(キリスト教系の高校に通ってた人)(信者ではないから全然覚えれてない)

ロイヤー夫人はヴィンセントにもう絵は描いてないのかと尋ねます。
ヴィンセントは今は絵を描いていないと答えます。
もう描かないのか、と聞かれるとキャンパスや紙じゃなくて、砂や人の身体に残したイエス・キリストのようなことがしたいと言います。
ヴィンセントはすっかりキリスト教に心酔していたのです。

たぶんこのくだりの中にヴィンセントが労働者が美しいの意味が分かったよ的な話をしていたんですよね。
ブリクストンの街も変わってしまった、っていう話かな。
サムが経済的理由で美術大学を辞めた話をしたときかも。
ロイヤー夫人がそれを伝えたときにヴィンセントは笑うんです。
経済的理由?そんなくだらないことで芸術家の道を諦めるのか?と。
本物の芸術家なら家族を犠牲にしてでも自分を貫くべきだ、と。
洋服掛けてたタオル置きみたいなの投げたのもここかな?
本当に覚えてなさ過ぎる…。
とりあえず、ここで1回貧困層の話になったんだと思います。

教養がないのでたぶんって話になるんですけど、ブリクストンの街も貧困者が増えた感じなんだと思います。
この貧困層の増加と、ヴィンセントの宗教への陶酔が、やたらと今の日本に重なる気がして色々考えさせられました。
まあ、舞台なんてもっと前から上演スケジュール立てたりするだろうし、そもそもこの作品はもっと昔に書かれた作品なので偶然でしかないと思いますが、貧困層と宗教の問題は今の日本人が考えるべき問題なんじゃないかな、と。
私は無宗教なのでここのキリスト教に陶酔してイエスのようになりたいとか、伝道師になるんだって本気で言っているヴィンセントを見て恐怖を感じました。
ヴィンセントは元々父親が牧師で、毎週礼拝にも行くような人で、そのために2時間歩くこともいとわないくらい、根っからのキリスト教徒ではあるので不思議なことじゃないのかもしれませんが、やっぱりそういう宗教に無縁の人間からしたら伝道師になると本気で言うくらい陶酔しているのは恐怖だなと思いました。
ヴィンセントが貧困層に落ちていたのもでかいかもしれない。
なんか、色々と追い詰められて逃げた先が宗教でそのまま陶酔しているような感じがして怖かったのかもしれません。
何にせよ、この怖いと思った感情って、今の日本の問題にも当てはまるんじゃないかなって勝手に思いました。

このキリスト教に陶酔しているところでヴィンセントは聖書の一節を暗唱します。
金持ちの人がどうすればイエスになれるのか、みたいな話で、そのためには全財産を貧しい人のために使いなさいと言われ、悲嘆に暮れて帰っていったっていう話。
讃美歌は分からんかったけど、この聖書の部分はたぶん、かなり有名なんですよね。
3年間まともにキリスト教の授業受ける気持ちがなかった私でもここは読んだことあるな、って思ったくらいなので。
捨てるに捨てれなかった高校のときの聖書引っ張り出してきて調べたらちゃんとあったしね。
案外覚えてた自分に感動しました(笑)
でもヴィンセントが「英語はこの感情を上手く表現している。」といった「悲嘆に暮れている」という文章ではなかったです。
聖書の翻訳と戯曲の翻訳が違うのか、意訳を意訳しているみたいな感じになっているから違うのかは分からんけど、ヴィンセントと同じ聖書じゃないのかぁってちょっと思っちゃいました。
私のやつは「ひどく悲しんだ」とかそんな感じでした。

ヴィンセントがあまりにもキリスト教へ陶酔しているのに耐えられなくなったロイヤー夫人は棚にあった皿をヴィンセントに投げつけて話を遮ります。
皿はたぶん元から割れやすいプラスチック的なやつなんですけど綺麗に飛び散ってました。
ロイヤー夫人「浮浪者よりちょっとマシみたいな恰好で帰ってきたと思ったら、イエスがとか聖書がとか、その辺の頭おかしい人の方がまだまともよ?」
ロイヤー夫人の信仰心があんまりないのか、それともイギリスの方がオランダより宗教に対する関心が低いのか。
この辺も教養があると分かるんだろうなぁと思います。

で、たぶんここに何かのシーン挟まってると思うけど忘れたので飛ばします(クズ記憶力)

ロイヤー夫人は今、ユージェニーとサムが自分を恨んでいて施設に入れてしまおうとしている、と思っています。
それが毎日不安で仕方ないというのです。
ただ才能を開花させる人を支えたいだけなのにサムもあなたもどうしてこんな結末になってしまうの?みたいなこと言ってて、でも単語は「結末」じゃなかったんですよね…。
まじで何も覚えてないクズ記憶力すぎて泣きたくなるな(恒例)

この辺りでサムがお皿が割れた音を聞いて戻ってきます。
ヴィンセントは自分が割ってしまったんだと嘘をつきますが、ロイヤー夫人もそれを否定することなく、はけていきます。

ようやくヴィンセントと2人になれたサムは、ヴィンセントが何も言わずに出ていった日から全てが変わってしまったのだと言います。
ロイヤー夫人は数日寝込んだし、サム自身も大学を辞めました。
ヴィンセントはサムに自分が認めたからスケッチを見てもらったりもしたのにどうして辞めたんだ、と言います。
ロイヤー夫人は経済的理由だと言いましたが、サムは本当はあの日スケッチを見せてもらったときに辞めることを決めたのだというのです。
サム「この才能が自分を追い越してしまう前に辞めないと、と思ったんだ。」

サムが絵を描くことを辞めた理由が自分であると知ったヴィンセントは絶句します。
この辺がちょっと深馬君っぽかったですよね(深馬君に囚われ続けているヲタク)
才能があるけどそれに気付けていなくて周りとのギャップについていけない、みたいなのが本当によく似合いますね、正門さんは。

また、サムはロイヤー夫人が自分たちのことを何か言っていたか?と尋ねます。
ヴィンセントは正直に施設へ入れようとしてるんじゃないか、って怯えてるよと伝えます。
サムはどうしたら伝わるんだろうなと言っていて、もしかしてこの舞台サムが1番まともで良い人なのかもなぁってこの辺で思いました。

その後、ユージェニーとロイヤー夫人が戻ってきます。
ユージェニーはテーブルの上で靴を乾かしてるのを見てなのか、スケッチブックを見てなのか、分からんけど一瞬ロイヤー夫人を怒るんです。
でもサムが宥めてみんなでお茶を飲むことになります。
昨日ロイヤー夫人の誕生日パーティーをしたときのケーキの残りも食べながら少しだけ明るい雰囲気になるんです。

でもヴィンセントはケーキに手をつけず、スケッチブックを手に取って一心に何かを描きます。
それを見たロイヤー夫人は少しだけ明るい表情でヴィンセントに近づき、近くの椅子に座ります。
ロイヤー夫人が近付くごとに照明が2人のあたりだけになり、最終的にろうそく(ランタンですが)の火だけになったところで終演でした。



まあ、正直終わり方がはっきりはしてない舞台なんですよね、これ。
最後、ヴィンセントは何を描いていたのか。
どうしてまた描く気になったのか。
絵をまた描き出したヴィンセントにロイヤー夫人は何を思ったのか。
本当に見た人それぞれが全然違うことを思う終わり方だなぁと思いました。


その後カーテンコールはお喋りはなしで、全員で2回、正門さんだけもう1回出てこられてました。
正門さんだけになったところはスタオベで、正門さんも髭面外して出てきてて、それそんな簡単に外してこれるんや(笑)になったんですけど私だけかな…。

染、色のときもそうでしたが、あまりにも舞台上にいる正門さんって役そのものすぎてカーテンコールのときもヴィンセントが挨拶してるように見えるんですけど、お辞儀から顔を上げた後、ふにゃっといつもの笑顔で笑って両手で手を振るので、あ、そこにいるのはぽや門っていじられる正門さんなんだなって思うんですよね。
あの変化というか、役の抜き方?戻り方?すごいですよね。
もしかしたらヴィンセントという役からアイドル正門良規に役を切り替えてるだけなのかもしれませんが。
何にせよ、重かった空気が一瞬で明るくなって感動しました。




と、まあこんな感じでしょうか!
本当に思い出したら書き加えてってしてるのでそもそも文章繋がってないところもいっぱいあると思うし、抜けてるシーン、順番が違うシーンだらけだと思いますが、公演終了後の私の記憶ではこんな感じです。

パンフ読んでたら思ってた以上に史実に基づいていてびっくりしちゃったんですが、そうやってちゃんとゴッホの人生を理解している人が見たらもっと深い考察の方に力を入れられたかもしれないし、私みたいに全然知らないからこそ、色んなことを考えられたのかもしれないし、ただ1つ言えるのはパンフにもありましたが、観客側に最低限想像力は絶対必要だと思いました。
あと多少の教養。

ただ、自担の顔を近くで拝みたい❤みたいなヲタクはしんどかっただろうな…(他人事)

推しのおかげで人生がまた1つ豊かになって感謝です。
彼がライブの挨拶でこれからも精進していきます、と伝えてくれるように我々ヲタクもあなたが発信するものを精一杯受け取るために想像力と教養を身に着けられるよう精進していこうと思わされました。
とりあえず、あんなすごい人を推してる人間がこれ?と思われないように毎日一生懸命自分にできる成長をして生きていたいな、と思います。


さて、次今のところ予定では18祭愛知です!
でもその前にグレショー大阪行きたいな!!(チケットはまだ手元にありません)

というわけでここまで読んで下さった方、ありがとうございました!
また次回!!